このページでは米国ETFの配当金と配当利回りについて解説します。
配当金が欲しいから米国ETFの運用を考えている投資家は多いと思います。
定期的な配当金は魅力的ですし、米国ETFには高配当の銘柄が多いです。
配当利回りが高いと配当再投資によって資産を効率的に増やせます。
配当利回りだけを基準に投資をするのは良くありませんが、米国ETFの配当利回りがどれくらいか知っておくべきでしょう。
米国ETFの配当利回りランキング
SBI証券のサイトを参考に、米国ETFの配当利回りと分配金を調べてランキングにしました。
あくまで個人の調査によるものなので参考程度にご覧ください。
銘柄 | 分配利回り | 年間分配回数 | 直近分配金 |
【PFF】iシェアーズ 優先株式&インカム証券 ETF | 5.89% | 12 | 0.171ドル |
【EMB】iシェアーズ J.P.モルガン・米ドル建てエマージング・マーケット債券 ETF | 5.68% | 12 | 0.448ドル |
【JNK】 SPDR ブルームバーグ・バークレイズ・ハイ・イールド債券 ETF | 5.65% | 12 | 0.512ドル |
【HYG】iシェアーズ iBoxx 米ドル建てハイイールド社債 ETF | 5.34% | 12 | 0.366ドル |
【RWX】SPDR ダウ・ジョーンズ・インターナショナル・リアル・ エステート ETF | 4.75% | 4 | 0.174ドル |
【EPP】iシェアーズ MSCI パシフィック(除く日本)ETF | 4.42% | 2 | 1.166ドル |
【SPYD】SPDR ポートフォリオ S&P 500高配当株式 ETF | 4.30% | 4 | 0.339ドル |
【INKM】SPDR SSGA インカム・アロケーション ETF | 4.30% | 4 | 0.223ドル |
【IFGL】iシェアーズ 先進国(除く米国)不動産 ETF | 3.75% | 4 | 0.220ドル |
【EZA】iシェアーズ MSCI 南アフリカ ETF | 3.66% | 2 | 1.067ドル |
【RWR】SPDR ダウ・ジョーンズ REIT ETF | 3.63% | 4 | 0.544ドル |
【VGK】バンガード・FTSE・ヨーロッパ ETF | 3.62% | 4 | 0.305ドル |
【LQD】iシェアーズ iBoxx 米ドル建て投資適格社債 ETF | 3.56% | 12 | 0.351ドル |
【USIG】iシェアーズ ブロード米ドル建投資適格社債 ETF | 3.48% | 12 | 0.164ドル |
【DVY】iシェアーズ 好配当株式 ETF | 3.36% | 4 | 0.871ドル |
【HDV】iシェアーズ・コア 米国高配当株 ETF | 3.33% | 4 | 0.822ドル |
【XLRE】不動産セレクト・セクター SPDR ファンド | 3.26% | 4 | 0.203ドル |
【VDE】バンガード・米国エネルギー・セクター ETF | 3.12% | 4 | 0.667ドル |
【VYM】バンガード・米国高配当株式 ETF | 3.13% | 4 | 0.651ドル |
【IXC】iシェアーズ グローバル・エネルギー ETF | 3.13% | 2 | 0.539ドル |
【VEA】バンガード・FTSE先進国市場(除く米国)ETF | 3.10% | 4 | 0.175ドル |
【IEV】iシェアーズ ヨーロッパ ETF | 3.08% | 2 | 0.286ドル |
【IGF】iシェアーズ グローバル・インフラ ETF | 3.07% | 2 | 0.691ドル |
【IYR】iシェアーズ 米国不動産 ETF | 3.00% | 4 | 0.603ドル |
(2019年5月24日時点)
【保有残高上位】米国ETFの配当金
SBI証券の週間保有残高上位の米国ETFについて、どれくらいの配当金があるのか調べてみました。
SBI証券の米国ETF週間保有残高ランキングは以下のとおり。
SBI証券において最も保有されている米国ETFはVTであり、日本人はVTIやVOOよりVTを好む傾向にあるみたいです。
10銘柄中6銘柄をバンガード社が占めており、バンガードETFの人気の高さがわかります。
そして、SBI証券の保有残高上位にある米国ETFの配当利回りと分配金は以下のとおり。
銘柄 | 分配利回り | 年間分配回数 | 直近分配金 |
【VT】バンガード・トータル・ワールド・ストック ETF | 2.30% | 4 | 0.281ドル |
【VTI】バンガード・トータル・ストック・マーケット ETF | 1.92% | 4 | 0.772ドル |
【VOO】バンガード・S&P500 ETF | 1.95% | 4 | 1.455ドル |
【VYM】バンガード・米国高配当株式 ETF | 3.13% | 4 | 0.651ドル |
【PFF】iシェアーズ 優先株式&インカム証券 ETF | 5.89% | 12 | 0.171ドル |
【IVV】iシェアーズ・コア S&P 500 ETF | 1.90% | 4 | 1.129ドル |
【VWO】バンガード・FTSE・エマージング・マーケッツ ETF | 2.71% | 4 | 0.081ドル |
【BND】バンガード・米国トータル債券市場 ETF | 2.81% | 12 | 0.194ドル |
【SPXL】Direxion デイリー S&P500 ブル3倍 ETF | 0.70% | 1 | 0.207ドル |
【HDV】iシェアーズ・コア 米国高配当株 ETF | 3.33% | 4 | 0.822ドル |
(2019年5月24日時点)
VT・VYMとVTI・VOOを比べたとき、直近の分配金は「VT・VYM<VTI・VOO」にもかかわらず、分配利回りは「VT・VYM>VTI・VOO」となっています。
つまり、年単位の収益を考えたとき、2019年5月24日時点では、VTI・VOOよりVT・VYMのほうが効率的な運用ができるということ。
分配利回りは「1株当たりの年間配当金額÷株価×100」で計算できます。
計算式をみてわかるとおり、株価が高いと分配利回りは下がり、株価が低いと分配利回りは上がるのです。
どれだけ配当金が高くても株価が割高であれば、利回りは落ち込んでしまい全体的な収益も低くなります。
VTI・VOOは世界中の投資家に人気なので、その分だけ株価は高くなり、分配利回りが引き下げられるのでしょう。
効率的に利益を上げたいのなら、投資家に期待されておらず(株価が割安)、安定的な成長が見込める(配当が安定的)銘柄に投資するのが一番です。
高配当の米国ETFを比較
米国ETFにはさまざまな種類がありますが、なかには高配当を重視して構成されている銘柄があります。
名称に「高配当」「増配」「好配当」という言葉がついている銘柄のことです。
ここで比較する高配当の米国ETFは以下のとおり。
- VYM
- HDV
- VIG
- DVY
バンガード社とブラックロック社の米国ETFから配当を重視した銘柄を比べます。
「高配当戦略」に興味がある方はぜひご覧ください。
VYM
【名称】バンガード・米国高配当株式 ETF
【ベンチマーク】FTSE ハイディビデンド・イールド・インデックス
VYMは米国大型株のなかでも予想配当利回りが市場平均を上回る銘柄で構成されています。
VYMは米国株式市場の高い配当利回りの銘柄で構成される「FTSE ハイディビデンド・イールド・インデックス」に連動したパフォーマンスを目指します。
【VYM構成銘柄上位10】
順位 | 銘柄 | 割合 |
1位 | JPモルガン | 3.71% |
2位 | ジョンソン&ジョンソン | 3.66% |
3位 | エクソンモービル | 3.29% |
4位 | P&G | 2.56% |
5位 | シスコシステムズ | 2.45% |
6位 | ベライゾン | 2.28% |
7位 | ファイザー | 2.25% |
8位 | インテル | 2.22% |
9位 | シェブロン | 2.21% |
10位 | AT&T | 2.17% |
(2019年4月30日)
HDV
【名称】iシェアーズ・コア 米国高配当株 ETF
【ベンチマーク】モーニングスター配当フォーカス指数
HDVは米国の優良企業(財務状態が健全で配当金を支払っている企業)で構成されています。
HDVは配当水準が比較的高位の米国株で構成される「モーニングスター配当フォーカス指数」に連動したパフォーマンスを目指します。
【HDV構成銘柄上位10】
順位 | 銘柄 | 割合 |
1位 | エクソンモービル | 8.50% |
2位 | JPモルガン | 7.41% |
3位 | ベライゾン | 6.85% |
4位 | ジョンソン&ジョンソン | 6.18% |
5位 | シェブロン | 5.73% |
6位 | ファイザー | 5.62% |
7位 | P&G | 5.13% |
8位 | コカ・コーラ | 4.37% |
9位 | シスコシステムズ | 4.15% |
10位 | ペプシコ | 3.89% |
(2019年5月30日)
VIG
【名称】バンガード・米国増配株式 ETF
【ベンチマーク】NASDAQ USディビデンド・アチーバーズ・セレクト・インデックス
VIGは米国大型株のなかでも前年比増配の実績を持つ銘柄で構成されています。
VIGは10年以上連続して増配の実績を持つ米国株で構成される「NASDAQ US ディビデンド・アチーバーズ・セレクト・インデックス」に連動したパフォーマンスを目指します。
【VIG構成銘柄上位10】
順位 | 銘柄 | 割合 |
1位 | マイクロソフト | 4.41% |
2位 | ビザ | 4.20% |
3位 | P&G | 4.09% |
4位 | ウォルマート | 3.93% |
5位 | ジョンソン&ジョンソン | 3.91% |
6位 | コムキャスト | 3.69% |
7位 | マクドナルド | 2.84% |
8位 | アボット・ラボラトリーズ | 2.62% |
9位 | ユニオン・パシフィック鉄道 | 2.40% |
10位 | ユナイテッド・テクノロジーズ | 2.31% |
(2019年4月30日)
DVY
【名称】iシェアーズ 好配当株式 ETF
【ベンチマーク】ダウ・ジョーンズ U.S.セレクト・ディビデンド・インデックス
DVYは過去5年間において配当支払いのある米国企業100銘柄で構成されています。
DVYは比較的高配当の米国株で構成される「ダウ・ジョーンズ U.S.セレクト・ディビデンド・インデックス」に連動したパフォーマンスを目指します。
【DVY構成銘柄上位10】
順位 | 銘柄 | 割合 |
1位 | フォード | 2.61% |
2位 | AT&T | 2.35% |
3位 | クアルコム | 1.90% |
4位 | アルトリア | 1.88% |
5位 | ONEOK | 1.75% |
6位 | ドミニオン・エナジー | 1.63% |
7位 | フィリップ・モリス | 1.61% |
8位 | PPL | 1.59% |
9位 | センチュリーリンク | 1.48% |
10位 | シーゲイト・テクノロジー | 1.47% |
(2019年5月30日)
高配当の米国ETFを一挙に比較
配当を重視して構成されている米国ETFを比較すると以下のとおり。
VYM | HDV | VIG | DVY | |
構成銘柄数 | 419 | 75 | 183 | 100 |
経費率 | 0.06% | 0.08% | 0.06% | 0.39% |
ETF資産総額 | 230.90億ドル | 69.06億ドル | 340.31億ドル | 166.01億ドル |
基準価額 | 82.51ドル | 90.70ドル | 108.44ドル | 94.81ドル |
直近分配金 | 0.651ドル | 0.822ドル | 0.509ドル | 0.871ドル |
分配利回り | 3.13% | 3.33% | 1.89% | 3.36% |
1年リターン | 10.31% | 17.05% | 15.99% | 8.63% |
3年リターン | 11.67% | 10.32% | 14.29% | 10.76% |
5年リターン | 9.81% | 9.05% | 10.72% | 9.73% |
大まかなデータを比較したとき、VYM・HDVが優秀だと言えるでしょう。
構成銘柄数ではVYMが最も多く、その次にVIGが多いです。
運用コストや資産総額ではバンガード社の高配当ETFが優れています。
コストとリターンから考えると、特段の理由がないかぎり、高配当戦略においてはVYMを選べばいいと思います。
しかし、HDVやDVYを選んではいけないわけではありません。
HDVやDVYは構成される銘柄やセクター比率がそれぞれ異なるので、自分の考えがある場合には選択肢となるでしょう。
高配当戦略としてHDVを選んでも全く問題はありません。
米国ETFの配当金は2重課税される
米国ETFの配当金は、アメリカでの源泉徴収税率を差し引いたあと、日本の源泉徴収税率を差し引いた金額が受け取り金額となります。
つまり、米国ETFの配当金はアメリカで税金と取られた後、日本でも税金をとられるということです。
米国の源泉徴収税率は10%であり、日本の源泉徴収税率は20.315%です。
100の配当金から10%の税金が引かれて90となり、90の配当金から約20%の税金が引かれて72となるのです。
難しく考えずに「米国ETFの配当金は税金によって72%が受け取り額となる」と理解しておきましょう。
米国ETFの税金について詳しく知りたい方は関連記事をご覧ください。
関連記事:米国ETFの税金について解説
重要なのは米国ETFの配当金の一部を、外国税額控除という制度によって取り戻すことができること。
米国ETFを運用するなら、外国税額控除の利用は必須です。
無駄な税金は利益を目減りさせるので、米国ETF投資家として税金について勉強しておくべきでしょう。
まとめ
米国ETFは高配当の銘柄や安定的に配当を出している銘柄が多いので魅力的です。
高配当戦略に米国ETFを利用するのはひとつの手だと思います。
また、米国ETFはアメリカという世界市場に上場しているので、資産規模が日本と比べ物にならないほど大きいです。
米国ETFは流動性が高く、銘柄の種類も多いので、世界中の投資家によって取引されています。
世界最大のマーケットに上場する米国ETFは安心して保有できる銘柄です。
▼米国ETFの投資ガイド▼
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