作業療法士とは?現役OTがわかりやすく解説

作業療法士とは?現役OTがわかりやすく解説作業療法士
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「作業療法士という仕事に興味がある」

「家族が入院していて作業療法をしてもらっている」

「作業療法士の仕事内容がわからない」

世の中には「作業療法士とは?」「作業療法士の仕事内容とは?」という疑問を抱えている人は多いと思います。

残念なことに作業療法士の知名度はとても低いのです。

同じリハビリ職の「理学療法士」と間違えられることが多く、理学療法士と作業療法士の区別がついてない医療関係者もいます。

看護師や介護福祉士が「作業療法士って何?理学療法士だと思ってた!」と言うぐらいなので、一般の方が知らなくて当たり前です。

このページでは作業療法士をわかりやすく解説します。

作業療法士を目指している学生さんはぜひともご覧ください。

この記事が作業療法のすばらしさを伝える一助になれば幸いです。

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作業療法士とは

作業療法士とはリハビリテーションの専門職であり、「作業療法」という技術を用いて治療・支援を行なう職業です

リハビリテーションの専門職として、作業療法士は医師の指示の下で「作業療法」を提供します。

では、作業療法とは何か?

【作業療法の定義】

「作業療法とは、身体又は精神に障害のある者、またはそれが予測される者に対し、その主体的な生活の獲得を図るため、諸機能の回復、維持及び開発を促す作業活動を用いて、治療、指導及び援助を行うことをいう」

上記は昭和60年に日本作業療法士協会が定めた「作業療法の定義」です。

作業療法士の定義といわれても、固い文字がならんでいるだけでわかりにくいですよね。

しかし、作業療法を提供するのが作業療法士です。

作業療法士の仕事を理解するためには、「作業療法」という技術をしっかり理解しないといけません。

以下より、作業療法を解説していきます。

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作業療法の対象者は障害のあるすべての人

定義では作業療法の対象について

身体又は精神に障害のある者、またはそれが予測される者に対し

上記のように書いてあります。

つまり、作業療法は

からだ・こころに障害がある人
からだ・こころに障害がおこりそうな人

を対象としています、

年齢は問わず、子ども~お年寄りまで作業療法の対象となります。

何らかの障害があるすべての人が作業療法の対象といっても間違いではありません。

作業療法は、「からだ、こころの障害がある人」「将来に障害が予想される人」を対象に行い、幅広い年齢層の人の、さまざまな病気・けがに対して、最初から最後まで長い時間軸で関わります

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作業療法が対象とする障害はさまざま

作業療法の対象とする障害は「からだ・こころ」「子ども・大人」によって少し違います。

大まかに分けると以下のとおり。

からだの障害こころ・認知の障害
子ども・脳性まひ
・ダウン症候群
・水頭症、二分脊椎
・知的障害
・自閉症
・学習障害
成人・脳梗塞、脳出血
・脊髄損傷
・骨折
・パーキンソン病
・高次脳機能障害
・うつ病
・統合失調症
・てんかん
・アルコール依存症
高齢者・脳梗塞、脳出血
・骨折
・がん
・認知症
・老年期うつ病

病気の名称を挙げるとキリがないので、あくまでも大まかな分類です。

ただ、からだの障害とこころの障害では、作業療法の対象が大きく違います。

「身体領域」と「精神領域」で専門が分かれているイメージです。

また、子どもの障害と高齢者の障害では、対象とする病気が大きく異なります。

これも「発達領域」と「高齢者領域」で専門が分かれている感じです。

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作業療法が対象とする時期は幅広い

作業療法が関わるタイミング(時期)はさまざまです。

大まかに分けると以下のとおり。

予防期病気やけがを予防する時期。
健康な人はより健康を、からだ・こころの不調な人は改善を目指す。
急性期病気やけがになってから間もない時期。
集中的な治療が中心だが、より早い復帰と悪化予防を目指し支援する。
回復期病気やけがの回復が期待できる時期。
積極的にリハビリ職種が関わり、1日に1~3時間程度のリハビリ時間が確保されることが多い。
生活期病気やけがの回復が落ち着いた(又はこれ以上の回復が見込めない)時期。
再発予防、社会・教育・職業などへの適応を支援する。
終末期人生の最期へ向けた関わりが重要となる時期。
尊厳のある生活への援助や家族支援を行う。

病気やけがを予防する段階から人生の最期まで、作業療法は長い時間軸での関わります。

これがすべてではありませんが、作業療法は活躍の幅が広いです。

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作業療法が目指すところは主体性の獲得

定義では作業療法の目標について

その主体的な生活の獲得を図るため

上記のように書いてあります。

作業療法は入院患者さんが自分の意志にしたがって生活できることを目指します。

作業療法は利用者さんが自分の判断にしたがって暮らしていけることを目指します。

医療者の一方的な意志・判断は相手の主体性を無視しています。

「今までの営業の仕事はやめて、事務の仕事をしたほうがいい」

「出かけるのはやめて、買い物はヘルパーにまかせてください」

「今までの趣味はあきらめて、他の趣味を探してください」

本人の意志・判断を無視した治療・支援は作業療法ではありません。

本人の満足度を尊重して、本人が中心となって行われるのが作業療法であって、作業療法士の自己満足でされるものは作業療法ではありません。

また、作業療法は身体の動きだけでなく、その人の生活を意識して治療・支援を行います。

・肩が動きやすくなった
・バランス良く立てるようになった
・脚がスムーズに振り出せるようになった

身体の動きを良くすることはもちろん大切です。

しかし、作業療法は障害のある人の身体(手、腕、脚など)を良くすることだけを目指してはいけないのです。

身体が良くなった先にある「その人の生活を良くすること」が作業療法の目指すところ。

「QOLを高めるために作業療法を行う」といわれることがあります。

QOLとは生活の質のことです。

クオリティ・オブ・ライフ(英: quality of life、QOL)とは、ひとりひとりの人生の内容の質や社会的にみた生活の質のことを指し、つまりある人がどれだけ人間らしい生活や自分らしい生活を送り、人生に幸福を見出しているか、ということを尺度としてとらえる概念である。
引用:Wikipedia

身体が良くなっても生活の質が改善していないと意味がありません。

さらに、身体が良くならなかったとしても、回復に限界があったとしても、その人の生活を良くすることが作業療法士の指命です。

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作業療法に必要なことは機能の回復・維持・開発

定義では作業療法に必要なことについて

諸機能の回復、維持及び開発を促す

上記のように書いてあります。

作業療法をするうえで必要なのは「さまざまな機能の回復・維持・開発を促す」ことです。

「今日、リハビリをうけて、なんか悪くなってんだけど・・」

これはNGです!!

老化もしくは病気の進行によって、悪化するのは避けられないことですが、「作業療法をして悪化する」のはいけません。

作業療法の目指すところは「主体的な生活」ですが、ひとつひとつの作業療法は「何らかの回復・維持・開発を促す」ものでなければいけないのです。

「作業療法をして悪くなる」ではなく、「作業療法によって何か良くなった」が大切です。

また、作業療法でアプローチをかける「諸機能」とは、からだ・こころ・生活行為・社会能力・周りの環境や個人を含めたものを指します。

具体的に例を挙げると

諸機能 
身体関節の動き、筋力、柔軟性、持久力、バランス
視覚、聴覚、平衡感覚、触覚
心機能、呼吸機能、内臓機能
精神意識レベル、知的機能、記憶、注意、高次脳機能、人格、意欲
応用的能力視る、聞く、読む、書く、計算、課題遂行
コミュニケーション(会話の理解、非言語的メッセージ、書き言葉の理解・表出)
歩行と移動、移乗、姿勢保持、物の運搬・操作
食事、トイレ、着替え、入浴、整容
調理、買い物、洗濯、掃除、整理・整頓
社会的能力時間管理、安全管理、ストレス対処、欲求への対処
公共交通機関の利用、サービスの利用
ディスカッション、来客対応、他者援助
幼稚園・保育園、学校教育、高等教育、職業準備、仕事の獲得、経済的自給
趣味、遊び、レクリエーション、宗教、市民活動
環境家族・親族、友人・知人、その他支援者や専門職、仲間・同僚・隣人などのコミュニティによる支援
車いす、義手・義足、福祉用具、生活に関わるすべての道具(家、自動車、靴、調理器具、スマホなど)
公的制度、公共事業、社会保障、その他サービス
個人簡単な性格や好き嫌い、人生経験、現在の状況などの個人特性。性別、人種、信条など個人的人権は除く。

これらがすべてではなく、ここで挙げた以外にも考えられます。

作業療法のアプローチはそれだけ幅が広いということです。

さらに、作業療法では、さまざまな機能を対象に回復・維持・開発を促します。

回復はもとどおりにすること

維持は同じ状態を保ちつづけること

開発は新しいものを活用すること

「回復と開発はわかるけど、維持することが目標なの?」と思うでしょう。

しかし、考えてみると日々身体が衰えていくなかで、老いに逆らって維持することは必ずしも簡単ではありません。

さまざまな機能を維持することは難しいのです。

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作業活動とは人が行うことのすべて

定義では作業療法の方法について

作業活動を用いて

上記のように書いてあります。

作業療法とは作業活動を用いた治療・支援と表現することができます。

では、作業活動とは何か?

【日本作業療法士協会】
日常生活の諸動作や仕事、遊びなど人間に関わるすべての諸活動をさし、治療や援助もしくは指導の手段となるもの

【世界作業療法士連盟】
人が自分の文化で意味があり行うことのすべて

世界作業療法士連盟の説明が気持ちいいですね。

作業活動とは人が行うことのすべて

この言葉に尽きるのではないでしょうか。

ただ、「人が行うことのすべて」では作業活動のイメージがしにくいので、作業活動の具体例をいくつか示します。

作業活動 
運動・感覚体操、トランポリン、滑り台、ブランコ、ダンス、風船バレー
生活食事、着替え、トイレ、入浴、ハサミや洗濯機、調理器具などの道具操作、コミュニケーション
創作・物づくり絵画、音楽、園芸、陶芸、書道、写真、編み物、革細工、囲碁・将棋、俳句、ゲーム遊び
仕事・学習書字、計算、パソコン、対人関係、外出、公共交通機関の利用
福祉用具
住宅整備
福祉用具のアドバイス、装具の適合判定、住宅へのアドバイス、その他相談・援助
個人生活状況の聞き取り、興味・関心の確認、価値のある活動の提供

さらに、個々のこだわり、物づくり、生活の細かな部分を含めると、もっとたくさんの作業活動が考えられます。

例えば

「エレベーターのボタンを押すのも作業」

「保湿剤をぬるのも作業」

というように、生活のちょっとした動作であっても作業活動に含まれるのです。

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作業療法は治療・指導・援助を行う

治療:手当をして病気・けがなどをなおすこと

指導:指示をしたり、説明をしたり、質問に答え教えること

援助:プラスに向かうように力を貸すこと

作業療法士は患者さん・利用者さんの身体に触れて治療を行うだけではありません。

言葉をとおして患者さんのより良い生活を支えたり、それ以外に環境調整や福祉用具の導入など、包括的な支援することが求められます。

「認知症介護に苦労する家族への介助指導」や「病気が進行していく未来を悩んでいる人への援助」など、指導と援助もその人のより良い生活のためには重要です。

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作業療法士の仕事スケジュールを紹介

私が聞いたり経験した範囲で作業療法士の仕事スケジュール例を紹介します。

その施設によってまったく違ったりするのであくまで参考程度に。

一般病院

8:40~9:00
朝のミーティング
9:00~
担当患者さんへのリハビリ
12:00~
休憩
13:00~
担当患者さんへのリハビリ
17:00~17:30
カルテなど書類業務

他にもカンファレンス・退院予定の患者さんの家屋調査などの業務もあります。

カンファレンスや家屋調査は他職種や家族の都合に合わせて組み込んでいくので、場合によっては時間外になることがあります。

また、17:30以降に研修や勉強会などがあり、定時で帰れないことはあります。

ちなみに、訪問リハビリは時間がもっと不定期な印象です。

訪問する利用者さんの時間の都合に合わせて、一日(もしくは午前・午後)の訪問予定を組んでいきます。

時間外の訪問となることもありますし、利用者さんの話し合いに呼ばれたりもします。

デイケア

8:30~8:50
朝のミーティング
8:50~
送迎、利用者さんの迎え入れ
9:40~
利用者さんへのリハビリ
12:00~
休憩
13:00~
利用者さんへのリハビリ
16:00~
送迎、利用者さんの送り出し
17:00~17:30
カルテなど書類業務

デイケアではお風呂やレクリエーションがあったりするので、その時間とかぶらないように都合をつけながらリハビリを誘っていきます。

そして、利用者さんの送迎時間が決まっているので、リハビリをする時間が限られています。

ひとりの利用者さんに時間がかかった場合、送り出しまでの限られた時間で、残りの利用者さんのリハビリをこなすのが大変です。

場合によっては、リハビリ職種が送迎にいったり、カンファレンスに出席したりします。

施設

8:30~9:00
朝のミーティング
9:00~
入居者さんへの個別リハビリ&レクリエーション(通所併設の場合は通所リハビリも)
12:00~
休憩
13:00~
入居者さんへの個別リハビリ&レクリエーション(通所併設の場合は通所リハビリも)
16:30~
カルテなど書類業務

私が経験した老人保健施設では、通所リハビリや認知症病棟が併設されていたので大変でした。

入居されている方の個別リハビリに加えて、通所リハビリや認知症病棟でのレクリエーションもあるので一段落つくまでバタバタです。

通所リハでは利用者さんが一人でリハビリできるメニュー(マシントレーニングなど)を組み込んでいました。

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まとめ

作業療法士は知名度がありません。

リハビリというと、理学療法士のイメージが強いみたいで、病院関係者にも間違えられることがあります。

間違えられるたび、作業療法士の知名度のなさが悲しくなります。

しかし、私は作業療法士という仕事に誇りをもっています。

とてもやりがいのある仕事ですし、大きな可能性を感じる職業だと思います。

この記事では「作業療法士」をわかりやすく解説したつもりなので、もっとたくさんの人に知っていただきたいです。

作業療法士とは、何らかの障害があるすべての人の、QOL(生活の質)を高めるために、人が行うすべての活動を用いて、治療・援助・指導する職業です。

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