このページでは投資信託のリスクを分散する方法を解説します。
「投資信託のリスクを下げたい」と思っている投資家は多いでしょう。
できるだけリスクを下げて、なおかつ素晴らしいリターンを獲得できたら最高だと思います。
投資信託の資産運用において、リスクを下げながらリターンを維持することは可能です。
投資信託のリスクを分散する方法は2種類ある
投資信託のリスクを分散する方法のベースは「分散投資の考え方」です。
分散投資の基本は「幅広く投資する」であり、投資先を分散することが全体のリスクを下げるのです。
そして、投資信託の分散投資には2種類の考え方があります。
- さまざまな投資信託に分散投資する
- 投資信託の中身を分散する
重複する部分があるのですが、投資信託自体を増やすのか、投資信託の中身を増やすのか、というイメージでいいでしょう。
以下より詳しく解説します。
さままざな投資信託に分散投資してリスクを下げる
投資信託にはたくさん種類があるので、幅広く分散投資することで、リスクを下げる効果が期待できます。
- 国内株式に投資する投資信託
- 国内債券に投資する投資信託
- 海外株式に投資する投資信託
- 海外債券に投資する投資信託
- 国内不動産に投資する投資信託
- 海外不動産に投資する投資信託
- 金・原油に投資する投資信託
投資信託の値動きは種類ごとに異なるので、幅広く分散されたポートフォリオをつくることは全体のリスク低下につながります。
分散とリスク低下の仕組みについて詳しく知りたい方は分散投資の効果をわかりやすく解説した記事をご覧ください。
また、同じような投資信託を複数保有することは繰上償還リスクの対策となり得ます。
繰上償還とは、運用会社の都合で投資信託を強制的に換金することを指し、長期投資を志している投資家にとってのリスクです。
投資信託を複数保有しておくと、ある投資信託が繰上償還しても、他の投資信託が残っているので、ポートフォリオのバランスを保つことができます。
例えば
- eMAXIS Slim 先進国株式インデックス
- ニッセイ外国株式インデックスファンド
上記2つのインデックスファンドは先進国株式を対象とした投資信託ですが運用会社は異なります。
ファンド名 | 運用会社 |
eMAXIS Slim 先進国株式インデックス | 三菱UFJ国際投信株式会社 |
ニッセイ外国株式インデックスファンド | ニッセイ・アセットマネジメント株式会社 |
eMAXIS Slimだけに100万円投資をしていたら、三菱UFJ国際投信株式会社が繰上償還したとき、先進国株式がポートフォリオからなくなってしまいます。
しかし、eMAXIS Slimに50万円、ニッセイに50万円と分散投資していたら、eMAXIS Slimが繰上償還してもニッセイの先進国株式が残ります。
eMAXIS Slimの先進国株式がなくなっても、ニッセイの先進国株式がポートフォリオの資産配分をある程度は保ってくれるのです。
上記のように、投資信託を複数保有することで、繰上償還によるポートフォリオへの影響を抑えることができます。
余裕があれば繰上償還の対策として複数の投資信託を保有してもいいかもしれません。
投資信託の中身を分散してリスクを下げる
投資信託のリスク分散において、投資信託の中身を意識することが大切です。
投資信託の中身の分散がいちばん大切だといっても過言ではありません。
例えば、以下のファンドは2つとも国内株式を対象とした投資信託です。
- eMAXIS Slim 国内株式(日経平均)
- eMAXIS Slim 国内株式(TOPIX)
ただ、同じ国内株式の投資信託でも詳細な中身は違って、片方は日経平均株価を対象とし、もう片方はTOPIXを対象としています。
投資信託のリスク分散を考えたとき、より幅広い分散投資が効果的なので、上記の例でいうと日経平均株価を対象とするより、TOPIXを対象としたほうがリスク低下が期待できるのです。
日経平均株価は225銘柄、TOPIXは東証一部全銘柄、どちらのほうが分散投資できるかは一目瞭然だと思います。
海外株式の場合も考え方は同じで、「アメリカだけ」「ヨーロッパだけ」「先進国だけ」というような、地域が限定された投資信託だけでは十分な分散とは言えません。
海外株式において最強の分散投資は、先進国、新興国、発展途上国を含めた全世界をカバーすることです。
eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)のような、全世界を対象とした投資信託に投資をしてもいいでしょう。
もしくは、いくつかの投資信託を組み合わせて、自分で全世界ポートフォリオを作成してもOKです。
- eMAXIS Slim 国内株式(TOPIX)
- eMAXIS Slim 先進国株式インデックス
- eMAXIS Slim 新興国株式インデックス
上記3つの投資信託に投資することで、世界分散投資を再現することができます。
インデックスファンドを利用すれば、誰でも簡単に世界分散投資ができるので、これから投資を始める方は活用すべきでしょう。
投資信託のリスクを分散したいのなら、中身を幅広く分散することが大切です。
投資信託のリスク分散の重要なポイント
投資信託のリスク分散の重要なポイントを紹介しておきます。
- 投資対象の分散を第一に考える
- 投資対象の数は多いほうがいい
- 投資比率の偏りはないほうがいい
重要ポイントを守って投資すれば、大きな失敗はしないと思います.
投資対象の分散を第一に考える
「リスク分散はどうすればいいの?」という投資家は、とにかく投資対象を分散しておけば、少なからずリスクを下げることができます。
リスクを下げる方法として、資産分散とか、地域分散とか、通貨分散とか、時間分散とか、いろいろな言い回しがあって混乱している投資家はいるはず。
リスク分散はシンプルに考えましょう。
リスクを下げたいのなら、投資対象を分散することです。
投資対象の数は多いほうがいい
投資対象は多ければ多いほど、分散効果が高まります。
国内だけを対象とするのではなく、全世界を対象するとリスク低下効果は高まります。
また、株式だけに投資するのではなく、債券、不動産、金などの投資対象にも目を向けるべきです。
インデックスファンドを利用すれば、誰でも気軽に幅広い分散投資ができます。
分散比率の偏りはないほうがいい
効果的にリスクを下げたいのなら、分散比率の偏りは少ないほうがいいです。
なぜなら、分散比率の偏りがあると、比率の高い投資対象の影響を強く受けてしまうから。
悪いケースと良いケースを比較してみます。
【悪いケース】
株式A | 80% |
株式B | 5% |
株式C | 5% |
株式D | 5% |
株式E | 5% |
【良いケース】
株式A | 20% |
株式B | 20% |
株式C | 20% |
株式D | 20% |
株式E | 20% |
悪いケースでは株式Aが暴落するとポートフォリオは大打撃を受けます。
しかし、良いケースでは株式Aが暴落しても、ポートフォリオのダメージをある程度に抑えることができるのです。
投資初心者はそれぞれの投資対象に均等分散しておくのが無難だと思います。
まとめ
投資信託にかぎらず株式でも不動産でも、リスクを下げたいなら分散投資しかありません。
分散投資はリターンをできるだけ維持したまま、リスクだけを下げる魔法の方法です。
また、今の時代は投資信託という便利な商品があるのです。
私はインデックスファンドを利用して国際分散投資を実践しています。
リスクを分散する方法として、インデックスファンドによる資産運用は、分散投資のハードルを低くしてくれるのでおすすめだと思います。
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