ランニングの怪我の種類と予防方法をわかりやすく紹介

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ランニングの怪我の種類と予防方法運動不足解消

このページではランニングの怪我の種類と予防方法を紹介します。

ランニングをしていて一番怖いのが怪我です。

誰でも気軽に始めることができるランニングですが、無茶なランニングを続けたり、間違った走り方をしたりすると怪我につながります。

「走る」という行為は健康な身体がひとつあればできるので、何の知識もなくランニングを始めて怪我する人は多いのです。

そして、大きな怪我はランニング人生にかかわります。

マラソン大会を目指すランナーにとって怪我は致命的です。

フルマラソンに向けて頑張ってきた練習がランニング中の怪我で崩れ去っていきます。

後悔しないためにもランニングによる怪我と予防方法に理解を深めましょう。

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【症状別】ランニングによる怪我の種類

ランニングの怪我は部位や症状によってさまざまです。

ランニングによる怪我の多くは痛みによって現れるのですが、膝なのか、足裏なのか、関節なのか、痛みが現れる部位によって種類が違います。

「どこが痛いのか」をしっかりと把握して対処しましょう。

膝の外側が痛いなら腸脛靭帯炎

ランニング後に膝の外側が痛くなったのなら、それは腸脛靭帯炎かもしれません。

膝の外側に位置している腸脛靭帯が炎症を起こしている状態です。

O脚の人、膝の外側の骨が突出している人、着地時に膝の曲がりが大きい人に見られやすいです。

腸脛靭帯炎は、膝の外側に負担がかかりやすい走り方をしている場合に起こりやすいとされます。

O脚や発育期で腸脛靭帯が緊張していたり、大腿骨外側上顆が突出している人では、長距離走における膝の屈伸で、腸脛靭帯が大腿骨外側上顆と摩擦を起こす。この部の運動痛や圧痛をきたしたのが腸脛靭帯炎である。

引用:標準整形外科学【第12版】

膝の内側が痛いなら鵞足滑液包炎

ランニング後に膝の内側が痛くなったのなら、それは鷲足滑液包炎かもしれません。

膝の内側に位置している鵞足(薄筋、半膜様筋、縫工筋)の下にある滑液包が炎症を起こしている状態です。

鵞足滑液包が膝の屈伸運動による摩擦で傷ついた結果、痛みとなって現れるのです。

膝の内方に負担がかかりやすい走り方をしている場合に起こりやすいとされます。

膝関節の内方を痛がる患者で、丁寧に触診すると圧痛部位が関節裂隙より5cmほど遠位にある場合には、鵞足滑液包の炎症を念頭に置かなければならない。夜間痛、立ち上がる際や階段昇降時の疼痛を訴える。鵞足滑液包炎の患者ではハムストリングスの緊張が認められ、ストレッチングがしばしば有用である。

引用:標準整形外科学【第12版】

膝のお皿の下が痛いなら膝蓋腱炎

ランニング後に膝のお皿の下が痛くなったのなら、それは膝蓋腱炎かもしれません。

膝のお皿の下に位置している膝蓋腱(太ももの筋肉から膝のお皿に伸びている腱)が損傷を起こしている状態です。

着地の際にかかる負荷によって、太ももの筋肉が強く引っ張られ、膝蓋腱が傷ついた結果、膝下の痛みとなって現れます。

スポーツなどによる膝の伸展機構の使いすぎで、膝蓋腱や大腿四頭筋腱が膝蓋骨付着部位で微小断裂を生じ、その修復機転として瘢痕や石灰化をきたす疾患である。膝蓋腱炎では、運動時に膝前面の疼痛が生じ、膝蓋骨遠位部に圧痛を認める。治療は保存療法が原則であり、ウォームアップ、ストレッチング、運動後のアイスマッサージなどを行う。

引用:標準整形外科学【第12版】

体重をかけたときに足裏が痛いなら足底筋膜炎

ランニング後に足裏が痛くなったのなら、それは足底筋膜炎かもしれません。

足の裏のアーチを補助している足底筋膜に炎症を起こしている状態です。

着地や蹴りだしの際にかかる負荷によって、足底筋膜が炎症した結果、痛みとなって現れます。

足底筋膜は内側縦アーチを静的に支え、横足根関節を固定し、ランニング、ジャンプなどの際の衝撃吸収と蹴り出しに関与しているが、使いすぎによって炎症を起こす。症状は起立時、階段昇降時、ランニングやジャンプ時での踵部内側の自発痛である。治療はストレッチ、アーチサポート、足底挿板などが有効である。

引用:標準整形外科学【第12版】

脚の骨を押さえると痛いなら疲労骨折

ランニング後に脚の骨が痛くなったのなら、それは疲労骨折かもしれません。

通常は骨折を起こさない程度の小さなストレスが繰り返されることによって骨折した状態です。

針金を曲げ伸ばししていると折れるのと同様の仕組みであり、足の指の付け根(中足骨)やすね(脛骨・腓骨)で起きやすいされています。

疲労骨折は骨の同一部位に繰り返し加わる外力によって皮質骨や海綿骨骨梁の微小な骨折が起こり、やがて明らかな骨折の発生に至る機序に対する名称である。どの年齢でも疲労骨折の発生はみられるが、10歳代の男子に多い。全身に広く起こり、統計によって頻度は異なるものの、脛骨、中足骨など下肢に多い。

引用:標準整形外科学【第12版】
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ランニングの怪我はなぜ起こるのか

ランニングの怪我の種類は以下の2つに分けられます。

  • 急性外傷
  • 慢性障害

怪我を予防するためにも、上記2つの特徴や発生状況を理解することが大切です。

急性外傷

急性外傷とは1回から数回の大きな力で発生する突発的な怪我を言い、捻挫、打撲、肉離れ、骨折、脱臼などを示します。

ランニングはラグビーのように人とぶつかったり、突発的な高負荷がかかったりするスポーツではないので、急性外傷のリスクは低いでしょう。

しかし、転倒や接触のリスクはゼロではありません。

疲労が溜まった状態で走っていると飛び出してきた通行人とぶつかるかもしれない。

無理なペースで走っていると勢い余って転倒するかもしれない。

ランニングによる急性外傷は、ランナーにとって致命的なので気をつけるべきです。

慢性障害

慢性障害とは長期にわたって弱い力が加わることで発生する怪我を言い、腸脛靱帯炎、膝蓋腱炎、疲労骨折などを示します。

日々のランニングによるダメージが少しずつ蓄積されて、ダメージが限界を超えたときに筋や骨に怪我となって現れます。

慢性障害が過度なランニングや休養不足が原因です。

疲労回復がしっかりと行われず、長期間にわたって負荷がかかり続けることで、大きな怪我につながるのです。

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ランニングの怪我が起こる6つの原因

ランニングによる怪我が起こる原因はいくつか考えられます。

  • オーバーユース
  • 筋力と柔軟性の不足
  • ランニングフォームが悪い
  • 過度な肥満
  • 無理なランニング
  • ダイエットや食事制限

怪我の原因について頭に入れておくと、怪我が起きる確率はかなり低くなります。

そして、ランニングによる怪我の原因は防ぐことができるのです。

オーバーユース

オーバーユースとは「使いすぎ」のことです。

回復が追いつかないほどの過度なトレーニングで脚を使いすぎると、徐々に疲労が蓄積されて大きな怪我につながります。

ランニングの場合はひとつの部位に疲労が蓄積しやすいです。

  • 左右対称の動きである
  • 単調な運動の繰り返しである
  • 長時間にわたって運動が持続する

上記3つのポイントが重なるので、オーバーユースを引き起こしやすいのです。

ランニングは低負荷だと思って侮ってはいけません。

ちり(低負荷)も積もれば山(怪我)となるのです。

筋力・柔軟性の不足

筋肉には関節、靱帯、骨などをサポートする役割があり、筋肉量が多いとランニング中の支持組織にかかる負担が軽減されます。

細い木より太い木のほうが折れにくいですし、しっかりと支えてくれる気がします。

鍛え抜かれた筋肉はランニングによる衝撃を受け止めながら、しっかりと前方に脚を運んでくれるのです。

柔軟性は支持組織にかかる負担を上手く逃がす役割があり、柔軟性に長けていると想定外の衝撃や失敗から怪我を防いでくれます。

堅いゴムは引っ張るとちぎれやすいですが、伸びるゴムはちぎれにくいです。

柔らかい筋肉と支持組織は転倒や足をひねったときなど、想定外の衝撃に対して柔軟に対応してくれるのです。

上述したように、ランニングにおいて、筋力と柔軟性はとても重要となります。

そして、筋力と柔軟性が不足していると、ランニングで怪我をするリスクが高くなります。

ランニングフォームが悪い

バランスが良く、偏りのないランニングフォームをしていると、特定の部位に過度な負担がかかることなく、負荷が分散されるので故障の予防につながります。

ランニングの着地の際、膝へ左右均等に負荷がかからず、外側に偏って負荷がかかり続けると、いつか膝は悲鳴を上げるでしょう。

お尻の筋肉を全く使わずに、ふくらはぎの筋肉に頼って走っていると、ふくらはぎを痛めやすい傾向にあります。

つまり、ランニングフォームが悪いと故障する可能性が高まるのです。

ランニングフォームが良いとランニングの経済性が高まり、同じ労力を費やしても走れる距離は長くなってペースも上がります。

過度な肥満による脚への負担

体重50kgの人と体重100kgの人では、走ったときの脚の負担は同じだと思いますか。

絶対的に違います。

体重100kgの人のほうがランニングによる衝撃・負荷は大きくなります。

イメージできない人は重たいリュックを背負って実際に走ってみるといいでしょう。

リュックを背負ったほうが絶対に疲れますから。

過度な肥満はランニング時の膝の負担を増加させます。

そして、肥満した状態で走り続けると怪我を引き起こす可能性は高くなります。

怪我が治りきらないうちに走ってしまう

痛みがある状態で走る、怪我の不安を抱えた状態で走るなど、怪我が治り切らないうちに走ってしまうと、怪我の連鎖が起こるかもしれません。

例えば、右膝を痛めた場合、人間は無意識に右膝に負担がかからない「かばう動作」を行ってしまいます。

そして、「かばう動作」を続けていると、身体のバランスは崩れ、反対の左膝に過度な負荷がかかり、次第に左膝まで怪我してしまうでしょう。

ドミノ倒しのように、ひとつの怪我を起こしたことで、次々と違う部位に怪我が起こることはあります。

痛みや違和感をかばうことで、偏った動きとなり、それが第2の怪我につながるのです

怪我の連鎖を起こさないためには最初の怪我をしっかりと治すことが大切です。

食事制限などの間違ったダイエット

ダイエット目的にランニングをしている人は多いです。

  • ランニング後は食欲がないから食べない
  • ランニングでカロリーを消費したのに食べたらもったいない

上記のように、ダイエットを誤解している人は少なからずいます。

過度な食事制限は絶対にやめたほうがいいです。

トレーニング後は筋肉痛になると思いますが、これは筋線維が損傷しているということです。

損傷した筋線維を速やかに修復し、より強い筋肉をつくるためには、食事による栄養補給が必要不可欠です。

トレーニングをして身体を強くしようとしているのに、栄養補給が不十分であれば身体は強くなりません。

また、走るときには糖質、たんぱく質、脂質を中心としたエネルギー源が必要です。

食事制限によってエネルギー源の補給をケチってしまうと、いざ走ったときにフラフラになってしまうかもしれません。

空腹でフラフラの状態のままランニングを続けると、脚が次第に重くなって、思うように身体が動かず、転倒のリスクは高まるでしょう。

ダイエット目的のランニングだからといって、食事制限は決してしないでください。

30分以上のゆっくりとしたランニングを根気よく続けていると必ず痩せます。

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ランニングで怪我をしたときの対処方法

ランニングで怪我をしたときの対処法は基本的に2つあります。

【原因療法】
怪我の根本的な原因を見つけて、それの完全な解消を目指すこと。

【対処療法】
今まさに直面している痛みや炎症を抑えたり、緩和させたりすること(アイシング、ストレッチング、マッサージなど)

原因療法と対処療法は、車の両輪のような役目をはたしているため、どちらか一方だけでは怪我を克服することはできません。

怪我の原因を根本的に解決しないと何度も怪我を繰り返すでしょう。

今まさに起きている痛みを放っておくとさらに悪化してしまうでしょう。

原因療法と対処療法の2つのアプローチを併用することがランニングの怪我には有効なのです。

怪我をした直後は痛みや炎症が出ているので、アイシング、ストレッチ、マッサージによる対処療法が先決です。

そして、痛みが引いて、運動ができるようになってきたら、怪我の原因を考えて解決していく原因療法に移行していくべきです。

原因療法と対処療法に取り組むことで、再発防止につながり、パフォーマンスの向上にもつながると思います。

ランニングによる怪我の予防方法

「ランニングをすると膝が痛くなったり、足が痛くなったりするのは当たり前」というのは間違いです。

ランニングの怪我は負荷が自分の許容範囲を超えた場合に起こります。

そのため、ランニングで負荷をかけるのであれば、それに見合う身体を作っておくことが必要なのです。

日頃から運動をせず不規則な生活習慣をしている人が、急にマラソントレーニングを始めたとしても負荷を受け止めきれないでしょう。

住宅に安心して住むためには基礎とメンテナンスが必要です。

それと同じで、ランニングに関しても「基礎づくり」と「メンテナンス」が必要不可欠なのです。

以下に紹介する方法で、ランニングの「基礎づくり」と「メンテナンス」を心がけましょう。

【身体づくり】
怪我予防の第一段階。フォーム維持のための筋力、しなやかに動くための柔軟性など、ランニングに必要な体力要素を事前にしっかりと鍛える。

【ウォームミングアップ】
ランニング前に身体を動かすことで、体温を上げたり、筋肉の血流を促したり、心臓や肺の適応力を高めたりする。怪我予防のために練習やレース前にはしっかりと行う。

【クーリングダウン】
練習後に身体を軽く動かして血流を循環させ、疲労物質をしっかりと流し出す。アイシングをしたり、ストレッチングをしたりすることで怪我のリスクを抑える。

初心者は走りながら怪我を治すべきではない

「ランニングの怪我は走りながら治すべき」「休息のしすぎは逆効果である」という考えを持っているランナーはいます。

ランナーによって怪我に対する考え方はさまざまでしょう。

しかし、初心者は安静にして怪我の回復を待つべきです。

プロのランナーは技術・知識・環境に長けているので、走りながら怪我を治すことができると思います。

ただ、初心者は身体の使い方が上手くないし、負荷量の調整ができないし、下手に走りながら治すとさらに悪化するはずです。

初心者が怪我をしたときは、痛みがとれるまでは走るのは控えてください。

正しい判断ができないなら「走らず安静に待つ」を選択するほうが絶対に良いです。

まとめ

「走る」という行為が誰でも気軽にできるからこそ、ランニングという趣味は普及しています。

しかし、負荷のかからないランニングでも、場合によっては大きな怪我につながります。

無茶をすると二度と走れなくなるかもしれません。

ランニングで怪我をしないためには予防が大切です。

  • 身体づくり
  • ウォームアミングップ
  • クリーリングダウン

上記3つをしっかりと行ったうえでランニングに取り組みましょう。

そして、ランニングライフを楽しむために、怪我が起こる原因を把握して、怪我のリスクに備えるべきです。

  • オーバーユース
  • 筋力と柔軟性の不足
  • ランニングフォームが悪い
  • 過度な肥満
  • 無理なランニング
  • ダイエットや食事制限

上記6つの怪我の原因は適切に取り組めば対処することができます。

ランニングを楽しむために。

素晴らしいランニングライフを送るために。

ランニングの怪我を理解することは必要不可欠です。

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